ほんのりと明るくなった部屋で、女が小さく身じろぎして体を起こした。一糸纏わぬ白い体が微かな明かりに照らされて、浮かび上がる。彼女の体を隠していた白いシーツが体から滑り落ち、女はだるそうに腕を伸ばして引き上げた。



「……何時くらいだろう、今」



視線を一周させて時を計るものを探すが、生憎眼に入ったのは散らかった部屋の惨状だけだった。寝台に程近く置かれた机に飾られている紫蘭の花だけが場違いなほど綺麗に咲いている。部屋にいたはずの男の姿も無く、男の奥方といわれているは安堵したように息を吐いた。



「運動しようかな」



最近、藍染がやってきて体を合わせ、疲れて寝入ってしまい起きたらまた彼に抱かれる。そういう生活を送っている。だからは昼も夜もなく眠くなったら寝る、空腹を感じれば食事を取る、という生活をしていた。久しぶりに彼の気配もないし久しぶりに運動でもしようかと思って散乱した衣服に腕を伸ばした。体がだるいのは最早いつもの事なので余り気にならない。



「奥方様」



服を掴み合わせた時入り口に気配が生まれ、藍染の配下でありの世話係を命じられているウルキオラが現れた。コツコツと小さな甲高い足音を響かせてゆっくりのほうに近づいてくる。はウルキオラが現れた事よりもその言葉に不機嫌に眉を寄せた。



「……ウルキオラ」

「奥方様。藍染様がいらっしゃいます」



の言葉の意図を測りながらもウルキオラは表情を変えることなく冷静な声で続けた。奥方と呼ばれる事を嫌う彼女に、其れでも奥方と呼ぶのは其の後ろに藍染惣右介が控えているからだ。其れを言葉にした瞬間、の瞳が嫌悪感に歪められた。



「私、これから運動するから」

「そうか。それは残念」



服を手繰り寄せて体を隠し言うと、ウルキオラの後ろから藍染がさして驚いた風も無く微かに眉を上げた。の顔が嫌そうに歪むのもお構いなしに寝台に座ると、はビクリと体を強張らせた。自分の行動に過敏に反応するに苦笑して藍染はそっとの瞼に触れる。



「今日は抱いてあげる気はなかったのだけどね」

「もともと頼んでない」



ちゅっと音を立てての額に口付けて、藍染は囁いた。其の言葉を全く信じずが不機嫌に返すと、心外そうに藍染は笑った。しょうがないね、と小さく呟いて寝台から立ち上がる。其の振動で寝台がほんの少し軋んだ。椅子に腰掛け、机に頬杖を突く。紫蘭の入った花瓶を邪魔そうに見やると、無造作に其れを払い落とした。陶器の割れる高い音がして、花が水に浸かった。



「何すん……っ」

「ウルキオラ」



其の音に驚いてが声を荒げるが、言葉を切るように藍染が強い声で立っていたウルキオラを呼んだ。ウルキオラが戸惑ったように視線を割れた花瓶に落とし、顔を上げる。動揺を含んだその視線に苦笑して藍染は寝台の上で固まっているに視線を移した。



は運動したいそうだよ」

「はい」

「でも僕は今日はただの顔を見に来ただけでね。にも休息が必要だと思ったのだけど……」

「………」

にはいらないらしい」



キラリと鋭い視線がを刺し、は一瞬息を飲んだ。しかし直ぐに藍染を睨み返して声を荒げる。身を乗り出した拍子に寝台が軋み声を上げた。



「私は白打をしたいの!」

「今は夜中なのだけどね」



面白そうに口の端を引き上げて、藍染が笑う。其の言葉には口を引き結んで、唇を噛み締めた。あの差し込んでいる光は月明かりだったのだろう、自分の失言が悔しくてしょうがない。最近時間が狂っているからとしても酷すぎる。すると、藍染は笑ってウルキオラに視線を移した。



がそんなに言うんならウルキオラ、抱いてやれ」



思いも寄らない一言にウルキオラは言葉を失った。それはも同じで、今まで他の誰と交わっても驚くほどに怒ったのによりにもよって自分のペットに抱けと言う。2人が固まっていると、藍染はにっこりと笑ってそっとの顎に指を掛けた。顔を上げさせて、囁く。



「僕は見ていてあげるから、その気になったら抱いてあげるよ」



骨の髄まで痺れるような声には反射的に体を引いた。寝台の端まで逃げて、自分の体をかき抱く。固まっていたウルキオラを藍染が促すと、戸惑いながらもウルキオラはの固まっている寝台に手を突いた。硝子でも触れるようにの柔らかい体に触れ、直ぐに怯えるように手を離す。



様……」

「ウル……、あの」

はウルキオラにも抱かれたかったのだろう。良かったじゃないか」



笑みを含んだ藍染の声にカッとなり、は離れたウルキオラの手を掴んだ。確かに自分はウルキオラに何度も自分を抱けと言った。彼に抱かれるのが嫌だったから。でももう分ってしまった。彼で無いと満足できない。体が満足しても心が、満たされない。
ウルキオラの手を自分の胸に当てて、はウルキオラの首筋に噛み付いた。



「抱いてよ、ウル……」



カリッとウルキオラの人間の其れとは違う白い肌に噛み付いて囁くと、ウルキオラの頷く気配が頭の上でした。次いで恐々と、ウルキオラの不器用な手がの優しくたわわな胸をもんでいく。藍染の其れとは違う優しい愛撫には微かに眉を寄せた。は右腕でウルキオラの首に抱きつき、左手で彼の服のファスナーを下げる。



「……もっと強くやっていいよ……」



囁くとウルキオラの手に力がこもり、の鼻から息の抜ける甘い声が漏れた。背筋に藍染の視線を感じちらりとそちらに視線を移すと、観察するような眼でこちらを見ている。其の視線に心臓が止まるかと思うほどに冷えた。いつも行為の最中は愉悦に満ちた色を浮かべている視線に浮かんでいるのは、無機物に向けているような無感情な色だった。そんな視線なのに、体の中が熱くなる。



様、大丈夫ですか?」

「……ん」



心配そうなウルキオラの声に小さく頷いて、はそっとウルキオラの薄い胸を撫でた。真っ白な肌の上の突起を指でつまみ、悪戯に口に含む。ころころと舌で転がすとピクリとウルキオラが体を強張らせの胸を掴んだ手に力が込められた。小さくが眉を寄せると、慌ててウルキオラが力を抜いた。



「申し訳ありませ……っ」

「いいから、続けて」



微笑んでが言うと、ウルキオラは困惑したように微かに眉を寄せて、徐にの鎖骨に舌を這わせた。そこからゆるゆると舌を下に這わせ、の柔らかな胸を擽る。ぬめっとしたその生暖かい感触には身を竦めた。



「……んっ」



突起を口に含んで転がすと、の口から小さな声が漏れた。ウルキオラの胸元を弄っていたの唇はウルキオラの髪を揺らし、ウルキオラの首にしがみ付くように腕を伸ばす。上目遣いにを窺って突起を転がすと、は微笑んだ。つい、ウルキオラが訊く。



「気持ちいいですか?」

「う、ん……。何処でそんな言葉覚えたの?」



彼が話すたびに歯が、息がの突起を擽っては其の弱い快楽に眉を寄せ、それでウルキオラに笑いかけた。ウルキオラの細い腕がの腰を撫で、内股に恐々触れた。そのまま上に指を滑らせると愛液を纏った蕾にたどり着いた。まだ濡れきっていない其処にウルキオラが眉を寄せると、は苦笑してウルキオラの首に回した腕に力を込めた。



「いいから、触って……」



頷いて、ウルキオラがの蕾に恐る恐る指を差し入れると、はピクリと唇を噛んだ。きつく締め付ける其れにの顔は険しく、ウルキオラが不安そうにに問いかけた。



様……?痛みますか?」

「大丈夫。気持ちイイ、から」



本当は微かな痛みを伴っているのに、は平気そうに笑って見せた。其れを簡単に信じてウルキオラはゆっくりと単調に指の差し入れを繰り返す。段々との蕾からは愛液が漏れウルキオラの指を濡らし、の表情からも苦痛よりも快楽を感じ取れるようになった。グチュグチュと卑猥な音をさせ、ウルキオラはの蕾をかき回す。







突然、今まで黙っていた藍染が静かにの名を呼んだ。すこし乱れた息で藍染を見やると、彼はニッコリと笑って立ち上がった。ウルキオラに視線だけで離れるように言い、ウルキオラが素直に頷いて躊躇いも無くの蕾から指を引き抜く。その熱には小さく息を漏らした。



「僕も仲間に入れてくれるかな」



言うと、が返答する前にの腕を引いた。はバランスを崩して寝台に倒れこみ、藍染はの顎に手を当てて顔を上げさせた。次いで寝台を降りようとしているウルキオラに視線を送り、再び寝台に登らせる。



「可愛いね、。膝を付いてごらん」



を四つんばいにさせると、藍染は満足そうに頷いて徐に着物を脱いだ。既に立ち上がって熱を持っている自身をの顔の前に突きつけ、怯えるような表情を浮かべるに笑いかけた。



「いい子だ。口で僕をイカせてくれ」

「…やだ……っ」

「下は塞がっているだろう」



え、とは思うまもなく藍染はウルキオラに視線を送った。一瞬戸惑ったウルキオラだが、小さく頷いての蕾に立ち上がった自身を押し付ける。の口から悲鳴が漏れる前に藍染はの口に自身を押し込んだ。喉を突いた其れには眉を寄せ、しかし舌は含んだ熱い塊を舐めあげている。まだ慣れきっていない蕾に押し込まれたウルキオラの其れに、は喉を引きつらせた。



「……っ!」

、歯は立てないようにね」



それでもの躯は熱い其れを受け入れ、微かな痛みも直ぐに快楽になる。息が苦しくて、痺れる感覚に縋るものを求めて、は藍染に縋りつくように腕を伸ばしてしがみ付いた。口は荒い息を繰り返しながらも丁寧に藍染の其れを撫でていて、藍染の大きな手がの髪に触れた。優しく撫でて、詰まった息を吐き出す。



「………っ」

「…ん……はぁっ」



口を自分の唾液でベタベタにしながらも、は藍染の其れを愛撫する。蕾から与えられる快感に何度か歯を立て、其のたびに藍染の口からは息が漏れた。ウルキオラは息を荒げ、しかし声を上げることなくに腰を打ちつける。



……」



小さく藍染がの名を呟いて、の頭を抱きしめた。其れと同時にの喉を熱いものが突き、それから白濁の液が吐き出された。ウルキオラもに腰を押し付け、きつく締め付ける蕾から自身を引き抜いて白濁の液を放った。は声を上げることもできずに果てた。








寝台で疲れたのか静かな寝息を立てているの髪を撫でて、藍染はふっと顔を綻ばせた。着物を整えたウルキオラは先ほど藍染の壊した花瓶の片づけをはじめている。



「……こんなに泣いて、可哀想に」



片付け終わって、ウルキオラは藍染に視線を移した。今まで見た事のないような優しげな表情が浮かんでいて、つい驚きが顔に出てしまう。そんなウルキオラに苦笑して、藍染はの赤くなった瞼にそっと触れた。それから立ち上がってに背を向ける。



「ウルキオラ」

「はい」

の眼に冷たいものを当ててやっておいてくれ。は眼が腫れるのを嫌うから」



それ以上に視線を向けることなく、藍染は部屋を出て行った。彼の姿が消えてからウルキオラは頷き、幸せそうに眠っているを悲しそうに見つめた。




-fin-

やってしまった……。
でもDBなんてこんなもんです。
リクエストありがとうございました!
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送