ゴロゴロと外からは腹に響く低い音が絶え間なく聞こえてきて、寝台の上では震えていた。夏のこの時期、天候が急に荒れるのは当たり前だがどうしてもこの音は好きになれないし、いきなり光る閃光が苦手だ。だから、は寝台で掛布に包まって自分の体を抱きしめて、泣きそうになるのを唇を噛んで堪えていた。



「鳳珠ぅ……」



今にも泣きそうな声で大好きな夫の名を呼ぶが、彼がの前に姿を現すこともない。現す事がないといっても、彼はただ入浴中なだけでが先に寝ようとしただけだ。長風呂な旦那に理不尽に頬を膨らませて、は轟いた雷鳴に情けない声を漏らした。
一際大きな光が掛布の中のの視界にも分かっての口から震えた声が漏れたとき、無遠慮に寝室の戸が開いた。一拍置いて、世にも美しい男の美声が呆れを含んで聞こえる。



「……、何をしている?」

「鳳珠!」



彼の声に、がばっと顔を上げた。掛布の中から抜け出して寝台から降りて彼に駆け寄ると、彼に触れる前に雷が鳴っては体を竦ませた。



「きゃぁぁ!」

「落ち着け。



甲高い叫びを上げて縋るように鳳珠の寝着を掴んで、必死でしがみ付いてくる妻に鳳珠は安心させるように小刻みに震える小さな背を撫でた。子供のように泣き縋ってくる彼女は、背後で雷が鳴る度にビクリと体を竦ませるので、鳳珠はの頭を思い切り自分の胸に押し付けての耳元に囁きを落とした。







優しく囁きかけると、ぎゅーっとのしがみ付く力が強くなる。しかしはゆっくりと顔を上げ、涙で濡れた顔をくしゃくしゃにして照れくさそうに笑った。しかしその笑みも直ぐに雷でかき消される。何度も鳳珠の名を呼びながら、しがみ付いてくるに如何しようかと鳳珠は思案を巡らせてとりあえずを抱き上げると寝台に下ろした。



、落ち着け」

「……鳳珠ぅ」



を寝台に座らせて視線を合わせるようにして自分が屈んで、鳳珠はの髪に指を絡める。優しく笑んでやれば漸くは落ち着いたように顔を上げて睫毛についた雫を掬った。しかし片方の手は変わらずに鳳珠の寝着を掴んでいて、その手が白んでいる。雷を怖がる妻に溜息を一つ吐いて、鳳珠は寝台の上に上がった。を抱きすくめて倒れるように横になる。



「一体何が怖いんだ」

「……分からないわ」



の髪を弄りながら訊くと、何処か拗ねたようなの声が返ってきた。もう震えてはいないが、雷鳴が轟くとびくりと身を固くして鳳珠にしがみ付く。鳳珠はをあやすようにその背に腕を回して項を指で撫でながら、の頭から額へと唇を落としていった。



「くすぐったいわ、鳳珠」

「本当にお前はよく泣く。手が掛かって堪らない」

「意地悪いわないで」



苦笑しながら言うと、は頬を膨らませて鳳珠の胸に顔を埋めた。大きな閃光がぱっと視界を焼いて、大きな音が落ちてくる。よくも分かったものだと呆れると、腕の中のが微かに震えている。鳳珠はの項を擽っていた手をずらしてそっとの首筋を撫でた。体を起こしての顔を上げさせると新しく涙の痕をつけたの顔が近くにあり、しっとりと唇を押し付ける。



「可愛い奴だ」



触れる距離で囁いて、合わせた唇の間から舌を掬うように侵入させればも待ちわびていたように答えてくる。さっきまで泣いていたからか口内はいつもよりも熱く、ねっとりしていた。絡んでくる熱に鳳珠は眼を細め、寝着の上からの小さな胸の膨らみに触れた。



「……ん……」



の鼻からくぐもった息が洩れて、鳳珠は朱に染まったの頬に柔らかく笑む。ゆっくりと名残惜しそうに唇を離すと、照れたように笑ったがぱっと鳳珠から顔を逸らした。



「怖いの、鳳珠」

「私に夢中になれば雷など怖くなくなるだろう?」



クスリと鳳珠が笑んでもう一度が頷く前に噛み付くように口付けた。しかし直ぐに唇は離れて、代わりにの首筋に湿ったものが当てられる。ちくりと走った鋭い痛みにが眉を寄せ、視界から消えた鳳珠の顔に心細そうに顔を歪めた。彼の姿を探すように彷徨った手が鳳珠の髪に触れて、まだ濡れている其れに苦笑する。



「鳳珠の髪、濡れてるわ」

「お前が泣いていると聞いたからな」



気にしている場合じゃなかった、と笑って鳳珠はの寝着の帯を解いた。首筋を擽っていた舌をどんどんと下へ這わせると小さな膨らみに辿りつき、其れを頂点まで舐め上げて上目遣いにを見やると、雷の恐怖なのか感じているのか分からないが目に涙を浮かべて不安そうに顔を歪めていた。鳳珠は頂点の突起を口に含むと舌で転がしながら、握り締められたの手を握る。



「……ん、鳳珠」

「何だ?」

「顔が見たい……っ」



泣きそうな声でが言うから、鳳珠はの突起を軽く噛んでやってから離した。の顔に目線を合わせる代わりに手を離して膨らみを包み込む。硬く立ち上がった突起を指先で潰すように押し付けると、の口から短く息が洩れて唇を噛んだ。の額に掛かる髪を掻き揚げて鳳珠がの額に唇を落とすと同時に雷が落ちては体を強張らせた。



「……やぁっ」

、気持ちイイだろう?」



の気を逸らすように厭らしく囁いてやれば、は涙目で小さく頷く。鳳珠は苦笑してに口付けると、突起を刺激していた手をそっと腰の方に下ろして行き、代わりのように舌を這わせてちゅっと突起を吸い上げた。



「あんっ」



耐え切れない甘い声がの口から洩れて、は口元を手で覆う。同時に閃光が弾けて、は体を竦ませて無意識に鳳珠に手を伸ばした。その手を自分の手で掬い取り、鳳珠が顔を上げて微笑む。



「手で顔を隠せば雷は怖くないのではないか?」

「そんな事したら鳳珠が見えないわ」

「……私は雷には勝てたようだな」



苦笑交じりに呟いて、鳳珠はの手を取ったままそっと内股に手を滑らせた。の手に自分の手を添えてヒクヒクと自己主張を始めた華に触れる。の手は竦んだように動かなくなるが、鳳珠が其れを許さずに無理矢理の小さな指で花の周りを刺激した。



「やだっ……鳳珠……っ」

「お前の躯は此れだけ私に夢中だぞ?」



厭らしい笑みを顔に貼り付けて、鳳珠は笑って見せた。滴らせている蜜を絡めるように強引に指を動かせば、はいやいやと首を振る。閉じようとする足の間に体を完全に割り込ませて其れを許さず、鳳珠は片手だけでの自由を奪った。華の襞を強かに刺激して、泣いているに口付ける。



「鳳珠っ……意地悪しないでぇ」

「まだ、怖いか?」



華にぐぷりと指を埋め込んで鳳珠はの耳元に囁きかけた。初めて感じる自分の中と、行き成り入ってきた二本の指にの息が止まりそうになっては顔を強張らせた。きつく締め付けてくる自分自身が恥ずかしくて抵抗するが、其れは自ら内壁を擦ってしまうだけで鳳珠を悦ばせるだけだった。鳳珠はの瞼に口付けると、の指で彼女の内壁を擦る。



「やっ鳳珠っ!」

「自分でやるのはどうだ?」

「ん…やぁ」



擦っているとどんどん蜜が溢れてきて直ぐにの指をぐちゃぐちゃに濡らす。緩く抜き差しながら中をかき回すと、グチュグチュと卑猥な音が洩れるが、その音は外の雨の音やの熱い息や雷の轟く音にかき消されて良く聞こえない。その時、大きく雷鳴がしての視界を焦がした。反射的にが身を竦める。



「ひぅっ」



その拍子に感部に当たってしまったようで、は高い嬌声を上げた。涙目で自分を見てくるに鳳珠は苦笑してから指を抜いてやる。が恨みがましい眼を向けてくるので微笑んで交わして、口付ける。



「お前が私以外に気を取られるからだろう?」



口付けを交わしながら鳳珠は片手で器用に片手で熱くいきり勃っている自身を取り出した。しっとりと濡れそぼっているの華に宛がって押し込むと、の躯が仰け反って耐え切れない声が上がった。鳳珠の手がを包み込むように彼女の頬に触れて、安心させるように髪を撫でた。



「ひゃぁ、ん…っ」



じりじりと焦らすように競りあがって、鳳珠は笑った。の眼が早くと急かすように見えたから、口を塞ぐように唇を押し付ける。全て押し込んでそのままの顔色を窺うように唇を離せばは小さな唇を恥ずかしそうに開いた。



「ねぇ、動いて?」



の言葉をかき消すように、雨が強くなって雷が視界を白くする。の口が声にならない悲鳴を上げて躯が竦む。瞬間に襲ってきた快楽にの躯が撓り、鳳珠は耐え切れないように笑った。の頭をしっかり抱き寄せて、もう怖がらなくていいと囁いてじりじりとの中をかき回す。



「んっ……ゃあ!」

……私が見えるか?」

「鳳珠ぅ……っ」



雨の音すらもかき消すように鳳珠はの奥を激しく突き上げ、其の度には快感に任せて嬌声を上げる。ぼろぼろと零れるの涙を掬ってやりながら鳳珠はの理性すらかき回して、噛み付くようにの唇に噛み付いた。そのままの最奥をついての躯が大きく撓る。が鳳珠をきつく締め付け、鳳珠がの中に自身の欲望を放った。其れと同時に、一際大きな雷が落ちた。










寝台で静かに寝息を立てる妻の寝着を直しながら、鳳珠は微かに微笑んだ。胸元に散った紅い花は彼女の白い肌には少々痛そうに見える。雨は大分弱くなったようだが、まだ空はゴロゴロと鳴いている。の隣りに横になって鳳珠はを抱き寄せた。腫れぼったい瞼に一つ口付ける。



「本当に可愛い女だ」



一瞬だけ走った閃光にの手が縋るように鳳珠を掴んだから、鳳珠は微笑んでを腕の中に閉じ込めた。
雷が怖いといって泣いた彼女はきっと昔から変わっていなかったのだろうが、其れが愛しく思える。自分だけを頼ってくれる幼い妻を抱いたまま、鳳珠も眠りの淵に落ちた。




-fin-

季節はずれでごめんなさい。
鳳珠様は普通の人だと信じていたのに(以下略)
リクエストありがとうございました!
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送