ルンルンと、一人の女が十番隊の隊舎をうろうろしていた。執務室の前で立ち止まって中の音を窺い、開けようと手を掛けてやはり開けられずに溜息をついて手を離す。困ったように眉を寄せて、一番隊所属のは意を決したように一つ頷いて戸に手を開けた。



「こんちわ〜」



先ほどまでの悩みに満ちた表情は何処へやら、執務室の戸を開けたときには彼女の顔はいつもと変わらない笑みを浮かべて元気に執務室に殴りこんだ。の予想通り一人で仕事をこなしていた日番谷冬獅郎が筆を握ったまま不機嫌に顔を上げるが、は気にしないで勝手知ったる、とソファに座った。



「……何しに来た」

「そぉんな怖い顔しないでよ、可愛い恋人が目の前に居るんだから」



ソファの背もたれに寄りかかるようにして冬獅郎に笑いかけると、冬獅郎ははぁと大きく吐き出した。呆れたような年下の恋人の反応には苦笑して立ち上がり、冬獅郎がの行動を胡乱気に見やる。彼に近づいて、は機嫌よさ気に冬獅郎の湯飲みを持ち上げた。思ったとおり中は空だ。



「この私がお茶を淹れてあげようか」

「……なんだその薄笑いは」

「そんな、シロちゃんは恋人を信用してないの!?」

「シロちゃんはやめろ」



大げさにが驚いて見せると、冬獅郎がまたはぁと溜息を吐く。疲れているのだろう彼の瞳はあまり元気ではない。はにんまりと口の端を笑みの形に引き上げると機嫌よくお茶を淹れる。
冬獅郎とは世間ではいわゆる恋人同士という関係で。でも傍から見れば長身で周りから言い寄られる事も多いのこと。恋人というよりも姉弟に見えてしまう。が必要以上に男と仲が良いのも問題だと思うが。
を見ながら休憩でもしようと冬獅郎が筆を置いて何とはなしにを視線で追うと、の手が不自然に動いた。いぶかしむように冬獅郎の眉が上がる。



「おい、今何を入れた?」

「何のことぉ?疲れてんじゃん、大丈夫?」



声を低めて言うがは振り返ってさらっと言った。確かに白い粉末でも入れているように見えたのだが、気のせいだったのかそんな幻覚が見えるほど疲れているのか。微かに痛む目元を揉みながら、冬獅郎はソファに倒れこむように沈み込んだ。



「……眠い……」

「はいよ、冬獅郎」



小さく口の中で呟いて眼を閉じると、の声が上から降ってきた。今にも落ちてきそうな瞼を押し上げて視線も上げると、笑顔でが湯飲みを持っている。其れを受け取って冬獅郎はゆっくりと啜った。温かいお茶を飲んで、ほっと息を吐く。冬獅郎の隣りにが腰を下ろし、ポンポンと冬獅郎の頭を撫でた。



「餓鬼扱いするな」

「お疲れさま、日番谷隊長?」

「……。隊長はやめてくれ」

「可愛い冬獅郎クン。お姉さんの膝をお貸ししましょうか?」



彼の肩に腕を回しながらはそっと彼の頭を引き寄せて自分の膝の上に寝かせた。冬獅郎は早くも心地良さそうに眼を閉じながら微かに聞こえるくらいの声で餓鬼扱いするなと呟くが、直ぐに寝息に変わる。相当疲れていたのだろう。とろとろと眠ってしまった恋人の頭を優しく撫でながら、その場に相応しくないいやらしい笑みがの顔に浮かんだ。



「………寝かせる為に来たんじゃないんだな、コレが」



冬獅郎の首筋に細い指を這わせて笑い、冬獅郎の湯飲みに視線を移した。中身は半分くらいが無くなっていて、の口元に笑みが煌く。湯飲みの淵を指でなぞって、は身を屈めて冬獅郎の額に唇を落とした。額から瞼、頬、唇と順に唇を移動させ、偶にちろりと舌を使ってつつく。無防備な唇を割るように舌でつつくとピクリと動いて、冬獅郎がとろんとした若緑色の眼をゆっくりと覗かせた。



……?」



疑問を浮かべた瞳を見返して、は彼の言葉ごと飲み込んだ。行き成りの噛み付くような口付けに冬獅郎は眼を見開くがは気にしないとばかりに舌を口内まで侵入させた。冬獅郎の顎をしっかり固定したまま冬獅郎の下から体を抜いて、そのまま押し倒す。



「……ふ……やめっ」



存分に舌を絡め、空気を取り入れるために一度唇を離すとその隙間から冬獅郎の苦しげな声が漏れた。薄目を開けて冬獅郎の顔を見やるが、微かに目を眇めただけではまた貪るように冬獅郎の口内を犯す。まるで、男が女にする其れのように、の口付けには感情なんてものは篭っていなかった。
存分に舌を吸い、冬獅郎が抵抗を弱めた所では漸く冬獅郎の唇を開放した。だらしなく垂れてる唾液を乱暴に拭ってにんまりと笑むと、冬獅郎が微かに顔を赤くしてを睨んでいる。



「さて、楽しい事しよっか?」

「どけ」

「いいの、そんなこと言って」



クスリとが笑んだ。強気にを睨んでいる冬獅郎の両手を片手で固定して、反対の手を下半身に移動させる。冬獅郎の腰紐を抜き去って両手を縛り上げた。暴れる足を足で押しとどめて、の手が袴の上から冬獅郎のモノを撫でた。其処からでも主張している事が分かり、がにやりと笑うと冬獅郎の顔がたちまち真っ赤に染まる。



「やめろっ」

「キスだけでこんなにしちゃって、シロちゃんってば淫猥」



冬獅郎の耳元に囁きかけると、冬獅郎はばっとから顔を逸らした。其れがまた愛しくてはクスクスと笑いながら耳朶に唇を落とした。冬獅郎の着物を肌蹴させ、ゆっくりと指で撫で上げる。その後を追うように唇を這わせると、冬獅郎が引きつった息を漏らした。



「……っやめ…!」

「だーじょうぶ。さんに任せなさいって」



ちゅっと薄いわりにしっかりと筋肉のついた胸板に音を立てて口付けては笑って見せた。ちろちろと舌で軽く撫で、時折真っ白い肌をきつく吸い上げる。冬獅郎の髪を手の感覚だけで掻き揚げて、は冬獅郎の胸の突起をきつく吸い上げた。



「…っ!」

「気持ちイイでしょ、人に触られると」



いやらしく笑って、は冬獅郎の袴をずり下ろした。下着の上からソコを握ると苦しげにぎゅっと顔を歪める。その顔にまたが笑って、焦らすように握った手を離して冬獅郎の額に唇を落とした。顔を近づけて、囁きかける。



「どうする、やめる?」



近くで見るほど妖艶なの笑みに、冬獅郎は一瞬だけ顔を強張らせた。しかしその顔は直ぐにから逃れようと逸らされ、恥ずかしそうに口を閉じる。無言の抵抗とも取れるその行動には不機嫌に顔を歪めて冬獅郎の下着を乱暴に取り払った。足で押しつぶすように体を移動させると、冬獅郎の口から引きつった息が漏れる。



「う、ぁっ!」

「やめて欲しいならもうしないけど、どうして欲しい?」

「っやめ……やめるな……」



顔を真っ赤にして小さく口にした冬獅郎に満足そうに笑って、はやさしく冬獅郎の頭を撫でた。笑いながら手を伸ばして冬獅郎のソレを綺麗な手で握りこむ。強く握って扱くと、冬獅郎の口から荒い息が漏れ出す。



「……っ

「何、まだだよ?」



膨張しきった其れを手で扱いて、偶にきつく握り締める。にんまりと笑って、はちゅっと音を立てて冬獅郎の先端に唇を落とした。ビクリと冬獅郎が眼を瞑り、の口の端がいやらしく引きあがる。先端を丹念に舐め上げて、舌を這わせる。ビクビクと引きつる冬獅郎の先端を口に含んだままは笑った。



「気持ちイイ?」

「ん…っ」



の息が、微かに当たる歯の刺激が冬獅郎の背を痺れさせ冬獅郎の鼻からくぐもった息が漏れる。その答えには満足そうに笑うと、先端をきつく吸い上げた。根元まで呑み込んで舌を使って優しく扱く。膨張しきって弾けそうになるとの細い指が根元を締め付け、苦しげに冬獅郎の顔が歪む。冬獅郎を口を含んだまま、は上目遣いに冬獅郎を見上げてにやりと笑みを浮かべた。



「まだイかせてあげない」

、もう……っ」



苦しげな冬獅郎の言葉を無視して、が冬獅郎自身を根元までくわえ込んだ。偶に喉をつくソレに苦しげに眉を寄せる。



「……はぁっ」



冬獅郎が肺から大きく息を吐き出したとき、の唇がきつく冬獅郎を締め付け彼は白濁の液をの口内に勢いよく吐き出した。苦しげに顔を歪ませたまま、は口内に流れ込んでくる苦い液体を飲み込んだ。ドクドクと注がれる熱を飲みきれずにが苦しげに吐き出すと、達して呆然としている冬獅郎が体を起こして困ったように顔を歪める。



「……。悪い……」

「スッキリした?」



唇を拭って、がにっこりと笑った。次いで、冬獅郎に腕を伸ばしてきゅっと抱きしめる。自分の胸に冬獅郎の顔を押し付けて、はクスリと笑った。



「……良く効いたわ、あの薬」

「何をした……?」



抱きしめた胸の間から冬獅郎の疲れたような怒ったような声が聞こえ、はあからさまに困ったように顔を上に向けた。その行動に冬獅郎がの腕の中で小さく震える。困ったように視線を泳がせて、は誤魔化すようににっこりと笑った。



「精力剤を…少々」



えへ、と笑ったに冬獅郎は口の端を引きつらせ、しかし叫び声はの胸の間に押し付けられる事で掻き消された。誤魔化すようにニッコリ笑って、が冬獅郎に顔を近づける。



「続き、しようか?」

「………俺、は」

「分かってるよチェリー君。教えてあげるから、ね?」



が柔らかく微笑むから、困ったような顔をしていた冬獅郎は唇を噛んで頷いた。恋人がそうとうな遊び人だったということは本当だったようだ。
頷いた冬獅郎にがにんまりと笑って、そのままソファに倒れこんだ。その時行き成り執務室の戸が開いて副隊長が入ってきた。執務室の光景に眼を見開き、次いで呆れたように溜息を漏らして何を言おうか思案している。



「………、雀部さんが探してたわよ?」

「……………うん」



ぱぱっと体を起こして、は同期の友人に誤魔化すように笑いかけた。怒られる前にさっさと執務室を出て行く。一歩出た所で、執務室に顔だけ戻すとばつが悪そうな乱菊と顔を真っ赤に染めている冬獅郎が眼に入った。



「バイバイ、冬獅郎」

!!」



冬獅郎の恥ずかしそうな叫び声を聞きながら、はぱっと踵を返して自隊隊舎に急いだ。




−fin−

ヒロインがドSになってしまいました。ごめんなさい。
リクエストありがとうございました!
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